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第12回 まともさに準拠して、性善説にふんばりながら、続ける(SHARPさん編・後編)

 やってまいりました、「犬と病理医と家電屋さん」後編です。前回「実在の人格(中の人)の性格が、SNSアカウントの性格に寄ってきた」という話から、「医者という人格と、そうでない人格の境界」の話になり、その境界が曖昧になること(溶け出すこと)、個人→組織か、組織→個人か、どっち方向に溶け出すかでリスクが違うか、という大変ややこしい話をしながら、「SHARPさんが時々だす【ぼっち感】」について語りました。

 あの「ぼっち感」は「中の人」の気持ちなのか、キカイダーでいうところの生身の部分なのか。そんな話から後編が始まります。

前回記事↓

 

snsiryounokatachi.hatenablog.com

 

■「ネットと向き合うのは孤独がベース」と教わったのは

 

 

(「シャープさんは時々【ぼっち感】を出してくる」という話を受けて)

 

 

シャープの場合はsolitudeであることに照れてlonelyの部分がもれてくるのかと思ってたことがある。

 

実際は「孤高」だけど「孤独」なように振る舞ってる、ということかあ。なるほどなあ。だいぶ前にシャープさんが、「フォロワーの孤独に寄り添いたい」って言ってるんですよね。「スマホでSNSを覗いているとき、人はみんな一人だ」って。

 

マンガになってたね。

 

 

そういうときに「ぼっち感」を出すのは、共感手段としてすばらしいなーと、いま気づきました。

 

やろうと思ってできるものでもないから、なおさらいいね。

 

ネットと向き合うのは孤独がベースというのは、糸井さんの『インターネット的』に書いてあるとおりだと思います。

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参考文献だ。

 

「相手の孤独に寄り添うために、自分の中の孤独感をあえて半身で出す」というのは、王道なんだろうけども、さまざまな場面で有効な手段なんだなあ。

 

Only is not lonely.

 

広告とかマーケティングやってると、その前提をすぐ忘れる人が多いです。

 

忘れそう。

 

 

■おそるおそる聴いて損した

 

 

またまた『フラジャイル』でさ、セカンドオピニオン回のときに、ザッキーがベテラン医師の一言、「さぞかしご心配でしたね。ご安心ください」という一言で、いきなり患者が心を開いてコミュニケーション可能になってびっくりするというシーンがありましたよね(4巻)。

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高柴先生ですね。

 

そうそう、あの仙人みたいな先生、大好きなのでどんどん登場してほしい。 で、シャープさんは、個人アカウントって持ってないんでしたっけ? 持ってるけど全然呟いてない?

 

個人アカウントは、ぜんぜんツイートしてないです。自分に関する告知がある時だけ。

 

あれ? えっと…、みんな複数アカウントって持ってるものなの?

 

ぼくはSNS医療のカタチの3号をやってるよ。

 

そうなんだ。

 

(知ってたやつだけだった。。。) おそるおそる聞いて損した。

 

これほど関心のかんじられない「そうなんだ」は1時間ぶりくらいにみた。

 

そうなんだ。

 

SHARPさんは、個人アカウントと組織(公式)アカウントの違いって、どんなところにあると思いますか。

 

2回いわなくていいから。

 

2分ぶりにみた。

 

そうなんだ。

 

犬となりが出るなあ。

 

話を本筋に戻してもいいんですよ。 >SHARPさんは、個人アカウントと組織(公式)アカウントの違いって、どんなところにあると思いますか。

 

ウィッス。

 

 

■個人アカウントと企業公式アカウントの違い

 

 

うーん、個人アカウントは間違ってもいいけど、公式アカウントは間違ったらダメなところかな。

 

慎重になるということですか?

 

公式アカウントはやっぱり公人みたいなところはある。発信が「個」であっても。

 

なるほど。

 

パブリックに「まとも」であることが求められると思います。

 

自分ひとりの責任では負いきれないですもんねえ。。。

 

おもしろい言葉の選びかただ。

 

往往にして、組織はその「パブリックなまともさ」を無視して、「村のまともさ」を優先することがあり、それが公式アカウントの炎上に繋がると思っています。

 

村のまともさを優先……。

 

おもしろいなー。「パブリック」のサイズが違うんですね。個人のルールと家庭のルールと会社のルールと国のルールとSNSのルールが全部違って、どれに合わせるのよ、というような。

 

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(画像:Adobe stock)

 

■パブリックのサイズに迷ったら「(一番広い)まともさに準拠する」

 

 

それを踏まえたうえで、「伝えづらいこと」を伝えるときの心構え、みたいなものがあれば、知りたいです。

 

(そうやって質問をかさねていくのおもしろい。)

 

たぶん謝ったり前言を撤回することが大変なんですよね。個人よりもよほど。でもやらなきゃいけないという。

 

だから伝えづらいことを伝えるのも、うそをつかないとか取り繕わないとか、そういう市井の人でいうところの、まともさに準拠して、間違いなく発信するということかな、と思います。

 

これは当然のこととしてふーんって聞くんじゃなくて、「心構え」としてかかげなければいけないことだなあ。

 

ああ、勉強になるなあ。。。パブリックのサイズに迷ったら、「(一番広い)まともさに準拠する」ということか。。そしてやっぱり難しいんだなあ。。

 

感心しすぎて「だなあ」が増えてきたからあとで「だな」をちりばめよう。

 

あ。だ、だな。

 

ぼくらこの連載でずっとため息付いてるから幸せの在庫がない。

 

品切れ続出だよ。

 

それを性善説にふんばりながら続けるのも、使命のひとつかもしれない。

 

きみがいることでSNSが踏みとどまっているところはあるよ。

 

たしかにシャープさん、ツイッターの橋頭保みたいになってる。

 

突然ソーメン食いたくなったが橋頭保と揖保乃糸ってべつにそこまで似てないね。

 

保しかあってねえ。

 

ぼくは半田麺派です。

 

ぐぐった。うまそう。

 

え、このメンバーでツッコミ役ひとりってキツくない?

 

そうだろ? ぼくいつも大変なんだ。

 

セガさんを呼ぼう。

 

あの人もボケだった。

 

セガが跳弾くらってるのかわいそう。

 

あの人のボケエピソードは何個もある。

 

うん、ときどきtogetterでみる。

 

 

■偉そうにマーケティングとか言うもんじゃないなと

 

 

で、恒例のお題なんですけども、このコロナ禍で何か変わりましたか? (まあSHARPさんの場合「マスク作って売りました」という大変革があるわけですが)

 

コロナ禍というか、一連のマスクの時もぜんぶ在宅でできたのは発見でした。何度か会社に行かなくちゃならないかなと覚悟してたから。

 

アイコンに「家」がさんぜんと輝いていたのが美しかった。

 

おお、完全在宅であのSNSさばき。 久しぶりに会社いくと新鮮ですよね。同僚へのほのかな同胞愛が確認できました。

 

空調がありデスクが整理されていてコーヒーがあってネットが整備されている場所のことですね。

 

それツイートしたな。

 

みた。

 

 

 

このご時世、家電製品って変わらず売れてるんですか?

 

コロナ禍で売れない製品もあれば、売れる製品も立ち上がってくるわけで、おもしろいなと思いました。ニーズだの、ターゲットだの、ふだん偉そうにマーケティングやってますとか言うもんじゃないなと思った。

 

そうか、「売れるほう」もあるんだ。

 

ほー。そうか。そりゃそうだなあ。

 

部品や流通の問題など、製造する人たちはたいへんだけど

 

ですよね。それはほんとそう。

 

昨日、広告関連の偉い人と話す機会があったんだけど、このコロナ禍で化粧品関係の広告が激減しているそうなんですよね。外出しなくなって、お化粧する人が減ったと。化粧品の売上、というより、化粧品の広告の売上が減った、というところも含めて、なるほどなーと思いました。 こういう広告の動きも含めて、なんというか、マーケティングに振り回されすぎている気はすごくします。

 

でもきのう見かけた、リモワによって有史以来はじめて、おっさんが自分の顔を見る時代(だから美容に気をつけろ)という広告は、ちょっとなるほどと思ってしまった。

 

なるほどなー。上があがらないなら下をあげよう、みたいな発想ですね>リモワで男性美容需要

 

いっぽう医療はマーケティングにうまく足を踏み入れられてないところある……。

 

 

■お腹が痛い人と頭が痛い人に向けた同一のツイートは無理

 

 

そろそろ時間なんですが、SHARPさん、一点、「医療情報コミュニケーション」について、何か疑問や思うところがあればぜひ教えてください。

 

ずっとうっすら考えていたんですが、まず大前提として、医療情報は必要な人が切実に必要とするものだから、その人に届けるには検索広告的な下地がまず必要なわけです。冷蔵庫が必要な人は冷蔵庫を検索するから、その時の広告は少なくとも嫌われない。必要な人にとって有用なので。で、医療の場合は、その検索結果と表示される広告がひどい状況にある。

 

ふむ。

 

ほほーーーなるほどなるほど。 フローとストック情報の重みがジャンルによってぜんぜん違うわけですね。

 

そしてそこを解決するには金がいります。

 

SEOかー。

 

大須賀覚先生が「アメリカの病院は、医療情報にお金をかけている。そうすると患者がくるから。でも日本の病院は患者がたくさん来てほしいわけではない。情報発信の動機と構造が違う」と。

 

そうだね。その話してた。

 

その話を伺って、うーん、これは根が深いなあ、と思いました。アメリカの場合、国土と保険の関係で(病院同士が離れてたりして)、「わざわざ検索して来院する患者」に投資する価値があるんですよね。でも日本の病院は医療情報発信にお金をかけない。お金をかける理由がない。

 

 

■お金を使えないならSNSで頑張る? そのためには?

 

 

じゃあぼくみたいな公式ツイッターがその役を担えるかといえば、地道には可能なわけです。地道には。冷蔵庫ほしいんだけど、というリプにちゃんと答える、とか。だけど、冷蔵庫が必要な人とテレビが必要な人への「お役立ち」を両立するツイートは、さすがに無理なわけです。

 

 

ほう……。

 

ふーーむ。「お腹が痛い人と頭が痛い人に向けた同一のツイートは無理」ということですね。

 

だからそもそもマーケティングとかターゲティングとかを公式アカウントで目指すのも馬鹿らしい。特に売るものが多岐にわたる企業は。それは医療も似てる気がする。むしろ、内科と小児科と外科の話を両立させるようなコミュニケーションは、けっきょく「だれが言うか」、「お前の言うことは信用してやろう」という評価や人となりをどう築くかだと思います。

 

これ、お金払わずに聞けるレベルの話じゃないな。

 

まったくだ。

 

人となりか……。

 

しかもこれ、「技術」の話でありながら、もっと厳しい「態度」の話ですね。。。。

 

 

■「ここに属してるなら信用できるぞ」というチーム

 

 

で、ぼくの場合は、そこそこ率直に物を言う家電屋、みたいな存在は作れる。地道にがんばれば。だけど医療の場合はどうしても何科のお医者さんというカテゴリがつきまとう。

 

ふむふむふむ。

 

不穏な空気をかんじる。

 

(まじでこの個別にカスタマイズされたコンサルティング、買おうと思ったらすげえお金払わないと買えない話ですね。。。すごい時代になってきたなあ。一番重要な情報は、お金というより関係性を築かないと得られないんだな。。。)

 

だから医療の場合は「だれが言うか」の信用を各人の領域では(それを必要な人との間で)築きつつ、「ここに属しているなら信用できるぞ」というようなチームを確立できないかな、とは思いました。

 

属人的な診察室でのやりとり(と、個人でできる範囲でのその延長)を、科を超えて統合するみたいなことかな。

 

個人でもだめ、肩書でもだめ、複数人のチームで対応、ということかーー。SNSって「関係性」が可視化されるツールなんですけども、その特徴を利用するということですね。

 

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(画像:Adobe stock)

 

だからたとえば「やさしい医療チーム」が「だれが言うか」のだれに相当するように機能すると、それはとても心強いんじゃないかな、と思う。

 

すばらしい分析と提言だなーー。 そしてオリジナルスリー+ヤンデル先生にのしかかる重み。

 

「やさしい医療チームA」「やさしい医療チームB」「やさしい医療チームC」……が分散型ネットワークで連結するところまでやらないと足りないかも。

 

なんだかんだいって、ツイッターの公式マークあると信用するように、「やさしい医療」(じゃなくてもいいんだけど)が信用のサインになるように進むと、とても価値があると思います。この人たち見てると、決して権威主義っぽくはならないだろうし。

 

たしかに、権威主義にはならなそうですよねー。そういうイメージはすごく心強い。

 

 

■最後におもしろいこと言っとく?(誰が?)

 

 

実はそれをずっとやってたのが「医師免許制度」なんだけど、当初の神通力はうすれてしまった。「食事の前には手を洗いましょうポスター」とかも、ほとんどお飾りみたいになっていたでしょう、ついこの間まで。

 

うーん、なるほど。

 

単なる権威サインみたいになってしまった土台のうえに、ここから新たに、シャープが言うような信用のサインを構築していかないといけないでしょうね。

 

『白い巨塔』とか、本当に「権威のみ」の話ですよね。。 そして、権威だからこそブラック・ジャックの「無免許医」という肩書がアンチヒーローの象徴になり得た。

 

気が引き締まります。

 

いやーー今回もおもしろかった!! そろそろ締めますよ。めっちゃ勉強になったし、楽しかったです。

 

みんなまじめだった。

 

たしかに。

 

セガはかわいそうだった。

 

おもしろいこと言っとく?(ヤンデル先生が)

 

では待とうか

 



(  ゥ )?
【 白 い キ ョ ト ン 】

 

本日のゲストはシャープさんでしたーーー!!

 

そうなんだ。

 

( ‘-^ )b

 

でもおもしろかったです、おつかれさまでした!

 

でもっていうな。

 

あとで原稿にしてお送りします!!

 

そうなんだ。

 

>(  ゥ )?
>【 白 い キ ョ ト ン 】
< 糸 冬 >

 

 

今回も大変盛り上がりました、犬と病理医シリーズ。特に「冷蔵庫が必要な人とテレビが必要な人への「お役立ち」を両立するツイートは、さすがに無理」という話から、じゃあどうすればいいか? キャラクターを「まとえば」いい、という話につながったときは、チャットしてて鳥肌が立ちました。ほらほらその部分、文字が踊ってる感じでしょう(感じない)。  そんなわけで今回はここまでです。次回は「ボス」が登場します。乞うご期待。

 

構成・見出し たられば

2020年8月23日オンラインイベント #SNS医療のカタチTV (やさしい医療の世界) /© 2020 SNS医療のカタチ/背景画像 Adobe Stock/Happy monkey