SNS医療のカタチTVウラ話

犬と病理医の陽気なおしゃべり、そして大垣書店京都本店・医書ビブリオバトルを盛り上げるオンラインPOP対決!

第18回 届いていたなら大団円(放送終了後トーク・後編)

 2020年8月23日(日)にオンラインで実施された「SNSやさしい医療のTV やさしい医療の世界」、反省会を開こう、ということで久しぶりにチャットルームへ集った犬(たられば)と病理医(ヤンデル)と主催者(大塚篤司)。「振り返り」と称して「あれはよかった」、「ここもよかった」と、ちっとも「反省」のそぶりを見せないまま6500字以上かけて、いよいよ後編です。  こちらはちょっと? いやかなり? 反省しているようす。「で、来年どうすんの?」という話は本編末尾でやっと出てきます。

 

 

■糸井重里さんの「やさしさ」と「チョーヒカルです!」

 

 

大塚先生は7時間ぶんのセッション、全部見れたんでしょうか?

 

はい、全部見ました。

 

「和尚と病理医と漫画家と犬」のほかに、印象に残ったセッションをぜひ伺えればと。ヤンデル先生もぜひぜひ。

 

やはり糸井重里さんの言葉は印象に残ってますね。

 

ぼくは「チョーヒカルです!」。

 

お、ひとつずついこう。まずは糸井さんの話から。

 

「糸井さんが考えるやさしさ」を最初に聞いたじゃないですか

 

うん。

 

あそこでね、ぼくはもうこのセッション終わりだなっておもいました。

 

「やさしい医療の【やさしい】って、そもそもいい使われ方されるとは限らない言葉だよね」でしたっけ。

 

「やさしさとは、自分と同一視することがまずはあると思います」、だっけな。

 

あ、そっちか、なるほど。

 

プロのボールをはじめてバッターボックスにたって見たわけですよ。

 

「(「やさしさ」とは)たとえば母親が(かつて自分の一部だった)幼児にむける気持ち」、という話ですね。数カ月前まで自分の一部だった、自分の子供に向けるような感情、と。

 

目の前で見ると体がすくむね。

 

そうですそうです。バッターボックスでしばらく足がすくみましたね

 

同じ事書いたね。

 

うんw なんも言えねぇなって。「2秒のタイムラグ」のせいにしてるけど、じつは足がすくんでたんですよね。

 

そうなんだよね。

 

あのセッション、コメント欄では「もっと医者に喋らせろ」と書かれてたんですね。ぼくはカメラの向こうで聞いてたんですけど、「いやぁ…これに入っていくのは…酷では…」と思ってました。

 

ニコニコするので精一杯でしたね。しばらくたって気を取り直して、「そう言えばオレもこういう球が投げられるんだっけ」と思い出したのが後半です。

 

いま振り返って、たとえば反論とか、付論とか、あの最終セッションについて何かありますか。「もうちょっとこの話をしたかった」みたいな話でもいいんですけども。

 

そうですね。「医療の世界でのやさしさ」に話を絞ればもっと深い話が出来た気がします。

 

そうね。

 

 

■「世の中のためになるっぽいから買おう」だけではダメ、という話

 

 

ふうむ…。以前、糸井さんがNHKに出てた時にね、あれは東日本大震災から3~5年目くらいの特別番組だったかな。被災地の人たちが復興ためのグッズをいろいろ作っていて、ショップに出す商品の選考に糸井さんが加わっていて。

 

うんうん。

 

そのときに、糸井さんがばんばんダメ出しするんですよ。東北の、被災者の皆さんが「こういうのどうですかね」って作った商品を、「これじゃダメだよ、売れないよ」って。

 

うんうん。

 

そのときにさ、糸井さんは、「被災地が大変で可哀想で、なにかしてあげたいから買います、っていうお客さんに向けて作っちゃだめだよ。それだと復興にならない。【これいいですね! ほしい!!】って思えるようなものを作らないと」って言っててさ。

 

あー。医療と同じだ

 

それまで復興の話で涙ぼろぼろ流してたのに商品の話になったら泣いたまま「これはだめだよ」って言うやつね。

 

そうそう。その厳しさをね、あのセッションで感じました。「大塚先生、けいゆう先生、ほむほむ先生、ヤンデル先生、面白いし好きだし、なんだか世の中のためになるっぽいから動画みました、本買いました、…っていうのではダメだよね」という。

 

だいたい考えていた方向に近寄ってきたからこのままぼくの話をしようかと思うんですけどね、

 

どうぞどうぞ

 

ぼくが一番よかったセッションって、「カンブリアナイト」なんですけど、あのセッションって医者が出演していないんですよ。

youtu.be

 

うん、いない。

 

新城さんと鴨さんとチョーヒカルさん。

 

要はぼくが視聴者目線でみたときに、「コンテンツ性」を純粋に評価したら、医者がいないところが一番おもしろかったのね。

 

ほほう。

 

つまり、「医者はおもしろくわかりやすくやさしく言えない」ってことだと思ったのね。

 

ふむふむ。

 

一方で、医療におけるコミュニケーションエラーって、患者側だけじゃなくて、医者側もけっこう苦労していることはあるわけよ。患者に比べると実数が少ないんだけど、医者にも言いたいことがある。

 

それはあるだろうねえ。。。

 

となると、我々は、「発信力が足りない+マイノリティー側」なのに、イベントを主催しているということになりますね。

 

うん。

 

今回ぼくはそのへんのことをすごく考えながらnoteを書いて、「すまん、俺の力不足だった、ほかにもっとしゃべれる医者のみなさんもいただろうに、代わりに出ちゃってごめん」って気持ちで結論したのよ。だからこの反省会を何度やっても「自分がだめだった」ということ以外あまり言うことがないの。

 

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■ここらへんからわりとガチめな反省会に突入します

 

 

あの、これ聞いても良いのかな

 

だめだよって言えないからどうぞ

 

どうぞどうぞ。

 

「テレビの劣化版ができるだけ」ってことについて、ヤンデル先生とぼくの意見が違うでしょ?

 

「かもの大反省会」でやったやつね。

 

あ、この前の鴨反省会の続きか。

www.youtube.com

 

もうすこしヤンデル先生の考え聞きたいなと思って。途中までは言語化してたけど、最後まで聞けてないなと。

 

こないだのイベントでつくづく思ったんだけど、医者って、対話の場で「医者として持っているもの」をいやみなくその場に出すのがへただよね。「医者にしか語れない専門知識」を一方的に教えるのは当たり前のようにできるけど、こないだみたいに対話の場だと、しゃべるのがうまい人たちの間にほうりこまれるとうまく議論できない。

 

ふむふむ。

 

だったら「テレビの劣化版」でもなんでもいいから、出場する機会を増やして訓練するしかないじゃん、ってのが大前提としてある。医者のYouTubeとか医者のTwitterとか医者のラジオとかぜんぶ劣化版なんだよね。だからテレビの劣化版ができるならそれはそれで価値があるんだよ。

 

なるほど。

 

しゃべるのがうまくないなら台本で補うとか、構成でがちがちに固めてようやく「見られる芸」になるのなら、そうやるしかないのかな、ということ。芸があれば別だよ、ただぼくにはちょっとそれは無理かな、そうとう訓練しても難しいかもしれない。

 

理解できた。それをふまえて、たぶん僕が考えてることはまた別にあって。

 

ほうほう。

 

テレビの劣化版を作って医療情報を広めるなら、自分たちでコンテンツ作らずにテレビに出ることを目指すほうが早いんじゃね?と思ってて。だってもうできてる場所があるんだし、わざわざ自分たちで場を作る意味がないのではと思ってるのね。

 

あーそれはわかるわかる。でも少なくともぼくは、テレビに耐える技術がないからしょうがない。出ても数字が出るほど、見ている人に「なるほど!」と思わせるほどの能力がないのよ。

 

(テレビに出ようと思えば出られる人の考え方で面白いなあ)

 

ええと。

 

すみません続けて続けて。

 

その、比較の問題ではなくてね。たぶん、ヤンデル先生もぼくも他の仲間も、自分たちの土壌で育てば、自分たちの土壌でしか育たないものができると思うの。

 

なるほど、意図も思いもよくわかる

 

たぶん、それがなにかの劣化版なんだけどさ。 そこはなにかの劣化版にならないように抗いたい。

 

そうだね。

 

 

■一回、盛大に失敗してみるのも手かも?

 

 

ヤンデル先生はうまい人に任せたらいいと思ってる?

 

すごいまじめなことを言うと、あのイベント、もしいちからもういちど作るなら、司会をぼくがやって、もっと盛大に失敗したほうがいろいろ見えたと思うよ。

 

それはそう思う。

 

司会の劣化版になったと思うけど医者が抗う姿は見せられただろう。

 

そうだね。ガチ反省会w たらればさんはどんな意見ですか?

 

ええとですね、わりと根本的な話に戻すと、今回のイベントって、「医療にまつわるコミュニケーションエラーを減らそう」というスローガンがあったわけじゃないですか。

 

ええ。

 

どうですか、やってみて、「ちょっと減ったかな」と思えましたか。「やらないよりは減ったんじゃないかな」と、思えましたか。そこが一番大事かなーと。 わたしはほら、同時視聴で3000人くらい? Twitterのインプレッションで10万くらいかな、届いたから、「やらないよりはやってよかったなーー」と思っておりますけれども。

 

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うーん…………。

 

楽しかったです。

 

そうね。

 

今回のイベント一回でなにか変わるかっていうとねぇ。

 

「医者は力不足だった、医者以外に手を差し伸べてもらってなんとかカタチにできた」みたいな感じかなあ

 

今回のイベントでさ、まあ鴨さんもおかざき先生も飛鷹和尚もシャータニも糸井さんもさ、なんで協力してくれたかっていうとさ、やっぱり「志」が高かったからじゃないですか。

 

その否定的な感想ではないんですけど

 

で、志が高いイベントって、続けていけるかどうかなんですよね。で、続けていくには、やっぱりある程度の達成感が必要だろうなあと思います。

 

 

■「さっきまで悩んでた」

 

 

一時間半が経過したので、最後のお題を。 来年どうします?

 

これですね。 先週まではけっこう悩んでたんです。

 

ふむふむ。

 

正確に言うとさっきまで悩んでて。

 

ほう。

 

なんとなくやる方向になるの嫌だなって。

 

さっきまで。

 

ついさっきまでです。

 

肚が決まりましたか?

 

来年、やります。

 

おお。

 

じゃあやろう。

 

じゃあやりましょう。

 

まだまだぜんぜんできてないもん。

 

そうだね。

 

なんにも届いてない。

 

そうなんだよ。

 

だからやる。

 

達成感あったらたぶんもうやめたね。

 

そうなのよ。

 

そうかー。なるほど。了解です。

 

めちゃくちゃ準備大変なんですよね。

 

だいぶ人に迷惑かけるからな。

 

そうなんです。それがわかった上でやるとは言えなかったんだけどね

 

まあまた鴨さんに手伝ってもらって。大手の原稿は後回しにしてもらい。

 

今年協力してくれた方々に失礼だわ。来年やらなかったら。

 

まったくだね。

 

これはね、根付くまでやります。

 

 

■「ぼくはあなたの話が聞きたいんだよ!!」

 

 

では今回は、反省会というよりは決起会ということでようござんすね。

 

達成感を感じたら退きます。

 

ちょっと唐笠買ってくる。

 

(次回の開催は)また8月?

 

ほむほむ先生とけいゆう先生の意見も聞かずに決起集会。

 

ほむはあとでじっくり話しよう。けいゆう先生はやだって言っても「えーっ」て言えばハイって言うだろう。

 

来年もたくさんの方に迷惑をかけますが、やりましょう。

 

今年よりは迷惑を減らせるように準備します。

 

たらればさん、手伝ってくだせぇ。

 

承知しましたー。がんばります!! 和尚よびましょうよまた。

 

ヤンデル先生もさ、出演してよ。

 

オッケー出るよ。

 

ぼくはあなたの話が聞きたいんだよ!!

 

めっちゃ上手くなってたらちょっと引くけどな>ヤンデル先生

 

ぼくは大塚がやるっつったらやるし出ろっつったら出るよ。

 

おふたりともありがとうございます。

 

たらればさんありがとうございます。

 

楽しみながら、お祭りやりながら、やさしい医療の世界つくりたいです。

 

いい具合にまとまりましたなー。ではここらへんんで今回はお開きということでよろしゅうございますか? なにか最後に読者の皆さんに言っておくことはありますか?

 

今日はカツ丼ありませんでしたね。

snsiryounokatachi.hatenablog.com

 

あーそれじゃあぼくから一言いいですかね。

 

どうぞどうぞ

 

われこそはというスポンサー企業の方々・・・。

 

大事!

 

…いや、これは大塚のほうがうまいからまかせる。

 

そこまじつらいところ。

 

えー、、、締めていいですか?

 

はい。

 

なにとぞ大手企業のみなさま。全国でお金余ってる方々。石油王のみなさまよろしくおねがいします。

 

なにとぞなにとぞ。

 

ありがとうございました。

 

はい、ありがとうございましたーーー。それではのちほど原稿にして送りますーー。

 

( ‘-^ )b

 

===

 

 というわけで、これにて「SNSやさしい医療のカタチTV やさしい医療の世界」反省会を終了いたします。当イベントに際し、ご迷惑をおかけした皆さま、ご苦労いただいた皆さま、ご足労、ご視聴いただいた皆さま、本当にありがとうございました。来年もやります。主催者一同、なるべく皆さまのご面倒を減らすよう努力し、今年植えた種が育つよう尽力してまいります。  あたたかくお付き合いいただけますとさいわいです。ではまた、どこかで。それほど遠くないうちに。

 

構成・見出し:たられば

2020年8月23日オンラインイベント #SNS医療のカタチTV (やさしい医療の世界) /© 2020 SNS医療のカタチ/背景画像 Adobe Stock/Happy monkey